敏感・繊細な気質(HSP)

HSPが人間関係に苦手意識を持ちやすい3つの理由と対処法

HSPの人が抱えやすい人間関係の悩みには、

  • 人付き合いが苦手
  • 誰かと一緒にいると疲れる
  • 職場の人間関係に苦痛を感じる

などがあります。

敏感で繊細というHSPならではの特徴がこうした悩みの原因となっているわけですが、

それを無自覚のままで過ごしていると

「他の人よりも疲れやすい」…(なぜ自分だけ?)
「小さなことが気になる」…(自分ってそんなに神経質?)
「他人に振り回されやすい」…(なぜこんなに弱いの?)

などといった、漠然とした“生きづらさ”のようなものを感じてしまいがちです。

ですからまずは自分がHSPであることを自覚し(セルフチェックはこちらから)、その上でどのような対処や付き合い方をしていけば生きやすくなるのかを模索していくことが大切だと思います。

ここでは、HSPの人が人間関係に苦手意識を持ちやすい理由と共に、その際に役立ちそうな対処法をご紹介したいと思います。



HSPが人間関係に苦手意識を持ちやすい3つの理由

①共感・同調しやすい(感受性が豊か)

人の感情や場の空気感を敏感に察知しやすいHSP。

他人の機嫌や考えを無意識的に読み取ってしまうことで、相手の状況を優先にした行動をとってしまいがちです。

常に相手の顔色をうかがってしまうことで言いたいことが言えなかったり、頼み事ができない、断れないといったお悩みを持つ方も多くいらっしゃいます。

また相手に共感しすぎるあまり、いつの間にか他人のネガティブな感情をもらってしまったり、相手以上に自分が落ち込んでしまうといったようなこともあります。

このような『他人に振り回されてしまう』状態は、HSPが持つ豊かな感受性が原因となっていることが多くあります。

HSPの特質である豊かな感受性は弱めようと思っても簡単に弱められるものでもありません。

弱めようとするよりも、物事の考え方や捉え方を変え、感性の使い方を上手にコントロールしていくことが大切です。

▼具体的な対処法

人の気持ちがよくわかるHSPの人には良心的な人がとても多く、困っている人を見ると放っておけず「自分が何とかしてあげよう」と様々な行動をとることがあります。

たとえ相手に「大丈夫ですよ」と言われても、「いやいや、私がやりますよ」などと押し切ってしまうこともあるほどです。

しかしこうした行為は意外にも「おせっかい」や「善意の押し売り」になってしまうことも多く、かえって相手を困らせてしまったり、貴重な経験や成長の機会を奪ってしまうことにも繋がりかねません。

ときには『見守る』という選択が大切になることもあるのです。

 

こうした判断は、このサイトで何度かお伝えしている『心の境界線』という考え方を取り入れるとわかりやすくなります。

HSPの人もそうでない人も、人付き合いにおいて余計なストレスを抱えないためにも覚えておきたい考え方の一つです。

心の境界線は、自分と他人を区別するための防衛ラインのようなもの。責任や問題の所在を明確に分けることで、人間関係の問題となりやすい『支配』や『依存』を防ぎます。

自分と他人の問題を切り離して考えることで、行き過ぎた共感や同調も未然に防ぐことができます。


境界線が明確に引けていないと、言いたいことがなかなか言えなかったり、誰かの苦労を肩代わりしてしまったりといった問題が生じやすくなります。

自分と他人の境界があいまいになってしまうことで、本来自分のものではない感情や問題を引き受け、いつも自己犠牲的になってしまうことも少なくありません。

そうならないためには、自分と他人の領域を明確にし、適切ときに適切な境界線を引けるようになる必要があります。

心の境界線という考え方は奥が深く、理解できるまでに時間がかかることもありますが、日々意識して過ごすことで少しずつ身についていくはずです。

心の境界線については、以下の無料メール講座で詳しく解説しています。よろしければご参加ください。

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②刺激に敏感

HSPの人はあらゆる刺激に敏感に反応しやすく、それが原因となって人間関係に積極的になれないことがあります。

HSPの人が刺激を受けやすい『音』や『匂い』、『感情』を強く発する人に対しては、とくに苦手意識を持つ方が多いかもしれません。

▼具体的な対処法

特定の人物が対象になっているような場合は、自分の思いを伝えてみるのも一つの手です。

  • 「もう少し○○してもらえませんか?」
  • 「●●していただけたらとても助かります」

そんな風に自分の要望や思いを伝えることができれば、それに応じて相手が言動を改めてくれる可能性があります。

言葉ではっきりと伝えられない場合でも、態度や表情を通して伝える努力をしてみるのも一つの手です。

それが難しい場合は、

『相手を変えることは諦めて、少しでもラクに付き合える方法を模索する』

ことが賢明だと思います。

変わらない相手を無理に変えようとし続けるよりも、自分の考え方や行動を変えることのほうが苦しむことは少ないはずです。

今の状況を少しでもよくするための具体的な考え方や行動を模索してみると良いでしょう。

  • グッズを使用する(耳栓・マスク・アロマ・イヤホンなど)
  • 苦手な人と無理に付き合わない
  • 苦痛を感じる場所にはできる限り近づかない

など。

間違っても

「どんな人とも仲良くしなければならない」

「苦手な場面には必ず立ち向かわなくてはならない」

などと思わないことです。

HSPとうまく付き合っていくためには、ストレスを感じるような人や場面からはあえて離れることが大切なこともあります。

以下の記事は“内向型”に関する記事ですが、HSPにも通ずるところがありますのでよろしければ目を通してみてください。

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③疲れやすい

人と関わる上で“疲れ”を感じてしまいやすいのもHSPの特徴です。

HSPには様々な情報を「察知」したり「深く思考」するといった特徴がありますが、それが人とのコミュニケーションにも発揮されてしまうことで膨大なエネルギーを消費してしまうのです。

とくに大勢が集まる場では話し声や雑音、視線、匂い、空気感など様々な刺激を受けやすくなります。

そのせいで、急にその場から立ち去りたくなったり、「一人になりたい」と考えるようなこともあるかもしれません。

だんだんと疲労感が増してくると敏感さや繊細さがさらに助長されてしまうことも考えられます。

こうしたことが続くと、「自分は人間関係が苦手」「人付き合いは苦痛でしかない」といったネガティブな思い込みを持ってしまうことも少なくありません。

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▼具体的な対処法

HSPの疲れやすさの対処法としては、『ダウンタイム』を持つことが非常に有効です。

ダウンタイムとは、自分が自然体になれる休息時間を持つことで、気力と体力を回復させる狙いがあります。

正式なやり方のようなものはとくになく、とにかく自分が心から休まるようなことをすることが大切です。

基本的には一人で静かに休める場所が好ましいので、職場や出先の場合には『トイレ』や『車』などが対象となるかもしれません。

疲労を感じたときにはそうした場に行き、ただ静かに目を閉じたり、呼吸を整えるなどして意識的に休息することが大切です。

こうして上手に気力や体力を回復させることで、気持ち的にもゆとりが持てるようになってきます。

ぜひ自分なりのダウンタイムを模索してみてください。

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安全領域を確保することでHSPの人間関係は楽になる

HSPはもともと警戒心がとても強く、誰もが気づかないようなことでも敏感に感じ取ってしまう傾向があります。

これがHSPの人が人間関係を苦手としやすい最大の原因ともいえるでしょう。

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無防備のままで様々な刺激を受けてしまうと、人付き合いに嫌気がさしてしまうことは無理もありません。

ときには周囲に協力を求めるなどして、できる限り刺激を減らしていく努力も必要です。

また、自分と他人の間にしっかりと境界線を設け、余計な問題や責任を引き受けないようにすることも大切です。

そうして少しずつ自分の安全領域を広げていくことで、HSPならではの人間関係の悩みは減っていくはずです。

 

少しでもよくなることを願っています。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。



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てるてる(荒木明)
てるてる(荒木明)
HSP・内向型専門カウンセラー。北海道 札幌市在住。 若い頃から繊細で傷つきやすい性格に悩まされる➔弱い自分を否定し続け対人恐怖症・うつ病を経験。自分の気質を受け入れ、心の機能について一から学ぶことで今ではとても生きやすくなりました。 メール相談を通して、一人ひとりのお悩みに対するアドバイスを行っています。 >>詳しいプロフィール
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