敏感・繊細な気質(HSP)

繊細で傷つきやすいHSPの心の対処法3つ

『繊細さ』そして『傷つきやすさ』はHSPの特質の一部です。

あらゆる刺激に敏感になりすぎてしまうことから、他人のちょっとした一言で深く傷ついたり、感情を揺さぶられてしまうようなことがあります。

私自身も、会社員時代には他人のささいな言動に敏感に反応しては心をよく痛めていました。

「これ以上傷つきたくない」と強く思うことで、一時は人付き合いをあえて避けていたこともあります。

こうした繊細さや傷つきやすさは、HSPという気質である以上ずっと付きまとうものです。

過度なストレスや疲労を感じないためには、自分なりの対処法や対策を持っておくことが大切です。

ここでは、私が実践している対処法を3つご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。



HSPの「傷つきやすさ」はどこからくる?

冒頭でお伝えしたとおり、HSPは繊細で傷つきやすい性質を持っています。

他の人にとって何でもないことであっても、HSPの人はそれを”負担”に感じたり、時には心に大きなダメージを受けてしまうようなことがあるのです。

まずはその”傷つきやすさ”がどこからやってくるのかを解説していきます。

「敏感に感じ取る」という性質

HSPの傷つきやすさの1つ目の出どころは「敏感に感じ取る」という性質からきています。

”敏感な性質”というのは、情報を入手する能力が高いという性質のことであり、決して悪いことばかりではありません。

問題はその「程度」なのです。

敏感な人は注意力が高く、細かなことにも気配りができます。なので、「ちょうどいい程度」ならば仕事や私生活にその力をプラスに発揮することができます。

誰も気づかないような事柄にも気付ける能力は、危機やミスを回避するために大いに役立つことでしょう。

ただ、現実として、『人付き合いの場』においては敏感過ぎることが裏目に出てしまうことも多くあります。

一般的なコミュニケーションの場で交わされる軽妙な言葉は、たいていジョークや常套句など深い意味を持たないものです。

そういったものの一つ一つに敏感に意識が向いてしまうのですから、疲れてしまうのも無理はありません。

人の気持ちに敏感に気付くことで、話す相手に共感できるというメリットもありますが、軽い付き合い・コミュニケーションの場で大勢を相手にするときなどは、気を遣いすぎて神経をすり減らしやすいというデメリットもあります。

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「深くとらえる」という性質

HSPの人の傷つきやすさは、「物事を深くとらえる」という性質からももたらされます。

例えば自分だけで思考をするようなときにも、精神の深い部分にまで潜り込む傾向にあります。

しかし、多くの人が毎日発する言葉や行動は、当然ながらそれほど注意深く考えれられたものではありません。

HSPの人は、そういった「適当に」発せられた言葉や行動を深くとらえてしまうことがあるのです。

分かりやすいのが、職場で失敗をしたときの先輩や上司の言葉などです。

先輩や上司は、次に同じ失敗をしないように「指導」しているつもりでも、HSPの人にとっては

「優しく言ってくれたけど、“本当は”怒っているのではないか?」

「なぜ“自分だけ”こんなに怒られるの?」

などと、事態を詮索し深くとらえることで良くない方向に思考を巡らせてしまいやすいのです。

ただでさえ人は「良いこと」よりも「悪いこと」に意識が向きやすいため(ネガティビティバイアス という)、一つ一つの事柄を深く考えるほど、マイナス面ばかりに捉われてしまいがちです。

日常生活でこうしたことはしょっちゅう起こりますので、HSPの人は傷つく頻度がやはり高くなってしまうのです。

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「豊な想像力」で拡大解釈してしまう

HSPの人は非常に想像力が豊かです。

優れたアイデアやイマジネーションが湧き上がる人も多く、実際にアート系の仕事に就く人が多いのもHSPの特徴です。

しかし、その想像力をうまくコントロールできずに、自分の心を追い詰めてしまうことも少なくありません。

たとえば、朝出会った同僚が“いつもよりもそっけない挨拶”をすることなどは、日常茶飯事です。

そういったときにも、HSPの人は次のような「考え」ではなく「想像」をしてしまいがちなのです。

  • 「昨日何か悪いこと言ったかな?」
  • 「私に対して何か気に入らないことがあるのかな?」
  • 「次に会ったときには何か文句を言われるかも・・・」

寝不足や飲みすぎといった、“ちょっとした理由”で体調や気分が乱れているような場合でも、多くの人が平気でそれを態度に表わしてしまうものです。

このような小さな出来事にでもHSPの人は様々な妄想を膨らませてしまい、「私が何かしてしまったに違いない」などと拡大解釈をしてしまうことがあるのです。

こうしたことは、自己肯定感が低く自分を責めてしまいやすい人ほど現れやすい傾向があります。

繊細で傷つきやすいHSPの心の対処法3つ

上記に解説したような「傷つきやすさ」は、HSPの人が生まれながらにして持つ特性であることから、根本から変えようとしてもなかなかうまくいかないものです。

しかし、特性に合わせた考え方や行動を意識することで、心の傷を負わないようにしたり、浅くすることは可能です。

以下に、HSPである私が日頃から心がけている対処法を3つご紹介します。皆さんの日常にも取り入れられそうなことがあれば、ぜひ試してみていただきたいと思います。

①「マイペース」「マイルール」を意識する

HSPの人は、自分が傷つかないように、そして相手を傷つけないようにするあまり、他人を優先した考え方に陥りがちです。

無意識的に相手の顔色をうかがったり、言葉や態度の裏側を読み取り、それを深くとらえることでどうしても他者中心になってしまうのです。

これが「他人に振り回されやすい状況」を作り出している原因の一つでもあります。

 

HSPの人が他人に左右されず「マイペース」で過ごせるようになるためには、他者中心の考え方から、いかに自分主体の考え方に移行できるかがカギとなります。

その一つの方法としては、『マイルールを設ける』ことが挙げられます。

他人に合わせたり譲ったりすることの多い方には特に有効な方法です。

 

例えば、他人から食事や遊びに誘われたとき、あまり気乗りのしなかったとします。

そんなとき、

  • 「迷ったときは断る」
  • 「自分の直観に従って判断する」
  • 「心を許せる人以外の誘いは断るようにする」

などといったマイルールをあらかじめ持っておけば、相手の言われるがままに流されてしまうようなことは少なくなります。

そしてこれが、『マイペース』を貫くことにもつながるのです。

この方法は自分主体の考え方を実践する際に非常に有効なテクニックですので、ぜひ覚えておいてください。

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②思い込みと事実を分けて考える

人は誰しも自分の色眼鏡(フィルター)を通して物事を見ています。

例えば、『そっけない態度=嫌い』というフィルターを持っていると、いつもより相手の挨拶が雑だったり、冷たく感じたりしただけで「私のことが嫌いなんだ」と受け取ってしまうようになります。

しかし実際には、他のことに気がとられていただけかもしれませんし、体調が悪かっただけなのかもしれません。

HSPの『深くとらえる』・『想像力豊か』といった特性は、時にこうした“思い込み”を助長させ、「被害妄想」や「拡大解釈」につながることがあります。

 

こうした事態を防ぐためには、思い込みと事実を分けて考える』ことが大切です。

そのためには、目の前で起こった出来事に対して結論を急ぎすぎず、

  • 「果たして本当に事実なのか?」
  • 「自分の解釈で決めつけていないか?」
  • 「他の考え方や捉え方はないか?」

という問いかけを常に持つようにすることです。

そうすれば、自分の思い込みに気が付くことができ、「被害妄想」や「拡大解釈」することも減っていくはずです。

③反応しても「受け取らない」

敏感な感覚を持つHSPは、身の回りで起きる様々なことによく気が付きます。

中でも悩まされやすいのが、「人の感情を敏感に感じ取ってしまう」というもの。

他人の怒りや悲しみといった感情にも敏感に察知し、共鳴するように心が痛んでしまうこともあります。

この「敏感に反応する」という特質は、残念ながら完全にはなくすことのできないものです。

しかし、反応したものを「受け取るか」・「受け取らないか」は自由に選ぶことができます。

例えば、相手の不機嫌に気付いたとしても、それをすべて自分の責任・問題だと引き受けないことが大切です。

良心的な人ほど、不機嫌な人を見ると「私にできることはないか?」などと一目散に手を差し伸べようとしてしまいます。

しかし、人の機嫌はその人の責任であり、こちらでどうこうできるものではありません。

何でもかんでも自分が背負ってしまおうとするのではなく、時には受け流したり、あえて見守るという選択をしても良いのです。

人の感情に気が付いても、『受け取らない』という選択をしても良い。

そして、

気が付いたこと全てを背負う必要はない。

この2つの言葉を肝に銘じておくことで、人の感情に反応してもうまく受け流すことができるようになっていくはずです。

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最後に

今回は、『傷つきやすいHSPの心を守る3つの考え方』というテーマでお伝えしました。

『繊細で傷つきやすい』という言葉には、どうしても“弱さ”“もろさ”といったネガティブなイメージばかりがつきまといます。

しかし、繊細な感覚を持つからこそ「感じられること」、「配慮できること」、「表現できること」もあることを忘れてはなりません。

そしてそれらを上手に活かすためには、身を置く環境や生き方を自ら選択していくことがとても大切です。

自分にとって“心地よさ”を感じる場所やモノ、人を選ぶ意識を持つことが、HSPにとっての『生きやすさ』につながっていきます。

 

今回ご紹介した内容が、少しでもお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。



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ABOUT ME
てるてる(荒木明)
てるてる(荒木明)
HSP・内向型専門カウンセラー。北海道 札幌市在住。 若い頃から繊細で傷つきやすい性格に悩まされる➔弱い自分を否定し続け対人恐怖症・うつ病を経験。自分の気質を受け入れ、心の機能について一から学ぶことで今ではとても生きやすくなりました。 メール相談を通して、一人ひとりのお悩みに対するアドバイスを行っています。 >>詳しいプロフィール
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POSTED COMMENT

  1. うどん より:

    はじめまして。
    「感情を受け取らなくてもいい」という言葉に心が軽くなりました。ありがとうございます!
    一言感謝を伝えたくてメッセージいたしました。

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