心理カウンセラーの荒木明です。
他人に対する警戒心が強いと、人との関わりでエネルギーを消耗しやすくなります。
つねに他人の言動を観察し、傷つけられたり嫌な思いをさせられないか用心していなければならないからです。
それが原因で、初対面の人となかなか打ち解けられない、人との交流を心から楽しめないといった悩みにつながるケースも少なくありません。
私自身、過去に対人恐怖症を経験したこともあり、他人とうまく関われないことの辛さはよく理解しているつもりです。
プライベートもそうですが、とくに仕事の場面では大きな支障をきたすことも多いのではないでしょうか?
ここでは、そうした方に向けて「他人への警戒心を和らげる方法」をお伝えします。
他人への警戒心が強くなってしまう原因
他人への警戒心は、自分の過去の経験が大きく関わっています。
例えば、
- 両親が信頼できない人だった
- 人にひどく傷つけられた経験がある
といった場合、他人への警戒心が強まる傾向にあります。
このような場合、「人を信用する」ということがなかなかできず、深い人間関係を築くことが難しくなったりします。
また、対人関係で何か揉め事や意見の食い違いがあっただけで、「もうこの人とはおしまいだ」などと事態を大きくとらえてしまうような場合もあります。
他の原因として考えられるのは、「生まれ持った気質」が影響している場合です。
例えば「HSP」は、さまざまな刺激や危険を察知しやすいことが原因となり、人に対する警戒心も強くなることが考えられます。
新しい人との関わりに慎重になったり、人の顔色をうかがい気味になるのは、HSPという気質が影響しているのかもしれません。
他人への警戒心を和らげる方法
「他人への警戒心を和らげる」ために必要不可欠なこと。
それは、「人を信頼する力を高めていく」ということです。
何らかの要因で警戒心が強まっている場合は、人に懐疑的な目を向けやすくなっています。
- この人に何かされないだろうか
- 傷つけられないだろうか
- 利用されてしまわないだろうか
など…
こうした「不安」や「疑い」といったネガティブな感情を持つことは、「信頼する力」を損なわせる原因となります。
この状態では、なかなか人と打ち解けることができず、心置きなく人付き合いを楽しむことが難しくなってしまうでしょう。
他人に対する「警戒心」や「慎重さ」が過剰なものになると、自らの想像で他人をモンスター化させてしまいやすくなる
本当は嫌な人かも…裏切られるかも…傷つけられるかも…
人との距離を縮めたいときは「無条件で信頼してみる」ことや「傷つく勇気」を持って接することも忘れないようにしたい
? てるてる@安心感を育む (@teruteru_tw) 2019年3月10日
人に対する「信頼する力」を高めていくためには、相手に対して「ポジティブな気持ちを向けること」が効果的であることが研究でわかっています。
具体的には、「共感」や「尊重」、「感謝」「許し」といったような好意的な見方で相手と接することです。
そのためには、相手の欠点や未熟な部分に対して簡単に批判するのではなく、「許し」や「理解」、「共感」といった温かな目を向けることが大切です。
相手に完璧を求めない
私たちは、つい他人に対して「完璧」を求めてしまいがちです。
人のできないところ、下手なところを見つけては「どうしてもっとちゃんとできないんだ」などと思ってしまいます。
しかし、実際には完璧な人など存在しません。どんな人にも、少なからず弱みや欠点はあるものです。
そのことをよく理解しておかないと、「この人は鈍い」「細かすぎる」などと、人のささいな欠点を見付けてはイライラしたり批判したくなってしまいます。
「相手に完璧を求めない」ということを心がけると、他人に対して必要以上に批判的な目を向けることがなくなります。
人の欠点を見つけても、「誰にでも弱みはあるよな」「完璧な人なんていないよね」などと、「許し」や「共感」といったポジティブな目を向けられるようにもなってきます。
この感覚が、他人への「信頼する力」を高め、警戒心を和らげることにつながるのです。
人にポジティブな気持ちを向ける練習
私が対人恐怖症に悩まされていたときは、周りの人に対して「不安」や「怖れ」、「疑い」の目を向けることしかできませんでした。
どんなに優しい言葉をかけられても、「何か裏があるんじゃないか」「利用されるに違いない」などと人を信頼することができなかったのです。
ある時から、こうした人への警戒心を少しでも和らげるために、「人にポジティブな気持ちを向ける練習」を始めました。結果としてそれが他人に対する安心感を持つきっかけとなり、症状を軽減させることにもつながりました。
やり方はとても簡単です。
その練習とは、「会った人に心の中で挨拶をする」というものです。
例えば、出勤中の人とすれ違ったら「いってらっしゃい」と声をかける。
レジ対応をしてくれた店員さんに、「ありがとう」と言う。
外で働いている人に、「暑い中ごくろうさまです」と言う。
仕事帰りの人に、「今日も一日お疲れ様でした」とつぶやく…
このような声掛けを「心の中」で行うようにするのです。
できるだけその人に意識を向けながら、ちゃんと気持ちを込めて行うことで、他人に対するイメージが「否定的・悲観的なもの」から、少しずつ「受容的・好意的なもの」に変わっていきます。
私の場合、上記のような習慣を続けることで、人に対する警戒心を大きく和らげることができました。
これは、人に対して無条件の信頼を示すことで、自分の心の中が浄化され、人に温かな目を向けられるようになったためだと考えられます。
始めは少し抵抗を感じるかもしれませんが、何度かやっているうちに気持ちに前向きな変化が現れてくるはずです。
こうしたポジティブな気持ちもまた、「人を信頼する力」を高めることにつながります。
他人への警戒心を和らげる方法のまとめ
「不安」や「疑い」といったネガティブな感情は、「信頼する力」を損なわせてしまう。
警戒心を和らげるには、「共感」や「尊重」、「感謝」「許し」といったポジティブな気持ちで人と接するようにする。
そのためには「人に完璧を求めない」ことが大切。どんな人にも少なからず弱みや欠点があることを理解しておく。
相手の未熟な部分を批判するのではなく、許し、受け入れ、温かい目を向ける。
そうすることで人への「信頼する力」が高まり、警戒心を和らげることができる。
「人に対する警戒心が強い」という自覚がある方は、以上のことをぜひ試してみてください。
今回の内容が、少しでもお役に立てばうれしいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ノートンストア
対人関係において不安や緊張を覚えやすく、実生活で精神的苦痛や疲弊を感じやすい性質や傾向を『シャイネス』といいます。
シャイネスの中には、『内気』や『恥ずかしがり』、『人見知り』といったものも含まれ、それが原因で人付き合いを避けてしまう方は多いとされています。
このオンライン講座では、全14日間のメールレッスン+ワークシートの実践を通して、人に対する緊張や不安を和らげ、安心して人と付き合うための思考法や行動についてお伝えしていきます。
お好きなタイミングでメールを開封していただき、ご自分のペースで実践していただけることが最大のメリットです↓