こころのリセットと回復

心が弱っているときに見ると気付きや発見を得られる映画5選

長い人生の中で、何かにつまづいて落ち込んでしまうことは誰にでもあるものです。

ただ、良くない出来事が立て続けに起こったり、なかなかスランプから抜け出すことができないときには、すっかり心が弱ってしまいネガティブな思考の世界にはまり込んでしまうことがあります。

過去に私も「もう人と関わりたくない、一人になりたい…」と自分の殻に閉じこもっていた時期がありました。20代前半で一部上場企業に入社したものの、過労と人間関係のストレスでうつ病にかかってしまったのです。

毎日強い倦怠感に襲われ、何をしても楽しさを見いだせず、いっそのこと消えてしまいたいと思うこともありました。

このときはまさに“心が弱った状態”で、頭の中は完全にマイナス思考に支配されていました。

そんなとき、私は一本の映画と出会います。

『パッチ・アダムス』という映画です。

くわしい内容は後述しますが、ある精神科医のユニークな療法が描かれた実話のヒューマンドラマです。

私はこの映画を見て、ただ目の前の仕事をがむしゃらにこなすだけだった自分に疑問を覚え、働き方だけでなく生き方まで深く考えるきっかけとなりました。

『パッチ・アダムス』以外にも、多くの気づきや発見をもたらし、気持ちを前向きにしてくれた映画はいくつかあります。

ここでは、そんな映画の中からとくに『心が弱っているときに観てほしい作品』を厳選してご紹介させていただきます。

ぜひ最後までご覧になってみてください。



心が弱っているときに映画を観るメリット・効果

良い映画を観たあとは、どこか清々しい気持ちになり、気持ちも明るくなるものです。

こうしたポジティブな効果が得られる理由には、以下のようなものがあります。

泣くこと、笑うことでストレス解消につながる

ストレス状態が続くと、気力が低下し、何に対してもやる気が出ない状態に陥ってしまいます。これは、感情をつかさどる脳機能が疲労していることが原因です。

映画を観てそのストーリーの中に入り込むと、腹の底から笑えたり、つらい状況に共感して泣いてしまったりと、鈍ってしまった感情に強い刺激を与えることができます。

また、泣くことや笑うことには”ストレス解消”の側面があり、固まってしまった脳と心に潤滑油を注ぐような効果が期待できます。

観ることに没頭できる(余計なことを忘れられる)

悩みや解決できないストレスを抱えているときは、自問自答を繰り返したり、嫌なことを頻繁に思い出してはため息をつく・・・ということを続けてしまいがちです。こういった状態では、当然良い答えや解決策などを思いつくことはありませんし、新たなストレスを生み出してしまう原因にもなりかねません。

映画はこういった状態に陥った精神にひとときの休息を与えてくれます。映画を観てストーリーを追いかけているうちに没頭していき、余計なことを忘れられるのです。

大きな悩みがあれば、映画のような”娯楽”に浸っていることに後ろめたさを感じるかもしれませんが、思い切ってリラックスする時間をとるほうが結果として状況が上向く可能性は高いでしょう。

新たな発見や気づきが得られる

映画には、作者の深いメッセージが込められているものも多くあります。

思想的・哲学的なテーマを取り扱った作品も多く、それまでの自分には無かった考え方や捉え方を学べることも少なくありません。

実際に映画を見て「人生が大きく変わった」という事例も多くあるほどです。

心が弱っているときに見ると気付きや発見を得られそうな映画5選

上記に解説したように、映画を観ることにはたくさんのメリットや効果が期待できます。

とくに心が疲れて弱ってしまっているときには、単に励まされたり勇気づけられることも多いはずです。

以下にご紹介するのは、私が実際に見て気づきや発見を得られた映画です。すでにご覧になっている作品もあるかと思いますが、この機会に再視聴してみるのも良いかもしれません。

※一部内容もご紹介しています。ネタバレにご注意ください。

①パッチ・アダムス

日本の医療施設ではほとんど見ることのない「クラウンドクター」は、入院中の患者の”心のケア”を施す専門家のことをいいます。

オランダで始まったと言われるこのクラウンドクターを、米国に持ち込んで世界に広めるきっかけを作ったと言われるのが、この映画の主人公である「パッチ・アダムス」です。

自殺未遂を犯して入院したことをきっかけに医学に目覚めたアダムスは、当時まだ認知度が低かった「クラウンドクター」の可能性に気付き、自らの手で普及させることを決意します。

得意のジョークやユニークな人間性を駆使し、たくさんの人の心を癒すアダムス。

科学と数字一辺倒だった1960年代の米国の医療制度に立ち向かい、「人間として本当に大切な精神性」を実証していくようなストーリーで、働き方や生き方を深く考えさせれられる内容になっています。

今では先進国を中心にポピュラーとなったクラウンドクターを世に広めた重要人物のノンフィクションですので、内容の重厚さと説得力も違います。

精神性を失い、業績や数字だけに振り回されがちな私たち日本人がまず観るべき映画だと思います。



②グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち

ハリウッドの名優マッドデイモン作の脚本で、70回のアカデミー賞脚本賞をとった名作です。

マットデイモン演じるウィルはスラム街出身の孤児で、子供の頃にトラウマになるほどの虐待を受け、成人します。

エリート大学の清掃員として働くウィルは、天才的な知能の持ち主でした。しかし幼少期のトラウマのために心を閉ざし、知能で周囲の者を打ち負かすことで恐怖と不安から自分を守ろうとするような生き方を続け、ときには暴力性を垣間見せることもあります。

才能に気付いた数学者ランボーは世界的な数学賞を取るほどの権威です。すっかりウィルにほれ込み、暴力事件で窮地に陥っていた彼を救い、精神科セラピストをあてがい社会復帰させ、数学者の才能を伸ばさせようとします。

心を閉ざし高い知能で精神科医たちを論破し近づけないようにしていたウィルに、何人かの精神科医は治療を断念します。

しかし、ロビンウィリアムス演じるショーンだけがウィルを見捨てませんでした。

ショーンは妻に先立たれたことで深く傷心していましたが、人間関係の作れないウィルの本質を見抜くことに成功します。

難しい精神医学を用いず、慈愛をもってウィルの閉ざされた心を開こうとする苦難と感動が描かれたストーリーです。

物語の舞台となるのはエリート大学の界隈ですが、そこに流れている空気はまさに現代の闇の象徴ともいえます。

助け合いの精神を忘れ、自らの欲望に駆られて生きる人たちと、それによって傷つけられる弱者。そしてその弱者もまた、自分を守るために他者との関係に高い壁を作ってしまう・・・という悪循環の様相も描かれています。

人と人との関係に最も大切な「寛容の心」と「相互扶助・慈しみの心」を貫き通すショーンの行動には誰もが心を打たれるでしょう。

偏った価値観のために孤独感や生きづらさを抱える方は多いですが、そういった方が自分の考え方や捉え方を客観的に見つめ直すためのヒントがいくつも散りばめられている映画です。

③ツレがうつになりまして。

邦画の大ヒット作『ツレがうつになりまして。』は、うつ病を発症した夫(ツレ)と漫画家の妻との闘病日記を描いたコミック作品の映画版です。

漫画家である妻自らが描き下ろした作品(原作)だけあって、得体の知れない精神病である”うつ病”と対峙し、精神科からのアドバイスを元に夫と互いに助け合う過程が克明に描写されています。

映画の方は夫ツレ役に堺雅人、妻ハル役に宮崎あおいという豪華キャスト。

両者ともに抜群の演技力でうつ病とその家族の闘いを演じきっています。

現実に「うつ病」という診断を突きつけられた本人とその家族が直面する、仕事・家計・生活・病気の捉え方・治療方法などが詳しく解説され一つの治療マニュアルとしても価値の高い映画だと思います。

実際にうつ病や自律神経失調症・パニック障害などで苦しんでいる人はもちろん、その家族や友人などが観ても非常に勉強になるでしょう。

また自分の精神疾患が周囲に理解されず孤独感を感じているような人も、「精神疾患と人間関係」「精神病患者の社会との接し方」などについても発見があると思います。

④Shine(シャイン)

実存の天才ピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴットを描いた映画『Shine(シャイン)』も、私にたくさんの発見や気付きをもたらしてくれた作品です。

幼いときから父の英才教育を受け音楽の世界で”神童”と言われたデイヴィッドは、伝統ある劇場で華々しいデビューを飾り大成功を収めますが、その後重度の精神疾患に苦しめられ一線を離脱します。

病魔によって10年以上もの間ピアノから離れた生活を送りますが、とあるバーで雇われピアニストをしているときに、生涯の伴侶となるギリアンと出会い、人生が大きく好転し始めます。

天真爛漫で奔放なギリアンに、半ば振り回されながらも徐々に2人の仲は深まり、結婚。ギリアンの献身的なサポートによって、クラシック界に華々しくカムバックを果たします。

デイヴィッドとギリアンの二足三脚の成功物語は実話ならではの緊迫感やワクワク感がありますし、細かな心理描写に共感される人も多いと思います。またお互いに足りない部分を補うような2人の関係を見ていると、男女関係に関しても色々なことに気付かされます。

主演をデイヴィッド側として見るか、ギリアン側として見るかで受け取るメッセージも違ってくるでしょう。

辛いことばかりで心が弱っている人、大切なパートナーとの関係に悩んでしまっているような人におすすめしたい作品です。

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⑤ホテル ビーナス

『ホテルビーナス』は日本映画であるものの、出演者のセリフが前編「韓国語」という異色の作品です。

出演者が元SMAPの草なぎ剛をはじめ、市村正親・香川照之・中谷美紀といった豪華キャストが集結したことでも話題になった邦画作品です。

陰鬱で重苦しい雰囲気のある仮想の街にあるホテルビーナスには、暗い過去を持ち傷心し、生きる望みさえ失ったような人々が暮らしています。

片足のホテルオーナーの”ビーナス”が、行き場を失った住人たちを抱擁するかのように温かく見守り続け心の支えとなっていました。

恋人を亡くした過去を持つ草なぎ演じるチョナンは、このホテルでボーイとして働き、時間を持て余す毎日を送っていました。

そこに不治の病の妻を苦しみから助けるために殺してしまった男ガイと、母を失ったショックで心を閉ざしてしまった義理の娘サイが登場します。

幼い心に傷を負ったサイの心の氷を溶かすために、ホテルの住人たちに変化が表れ、やがて完全に心を閉ざしていたサイの感情に光が差し始める・・・というヒューマンストーリーです。

他の映画とは違った独特の世界観があり、彩色を極限にまで抑えたシックな映像はアーティスティックに感じられます。

精神的に疲労しどうしても前向きになれないような状態に陥った人ならば、とびきり明るく元気な映画よりも、むしろこの作品のような雰囲気の方がすんなりと入り込めるかもしれません。

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最後に

心が弱ってしまうということは誰しも経験することですが、その苦しい時期が後の人生のために必要だったことは、しばらくしてから気が付くものです。その苦みの中で掴み取った「気付き」や「発見」が、その人にとって心の宝物になるのです。

そう考えると、こうした苦しい時期は「決して悪いものではない」ということに気付くことができるでしょう。

創作であれノンフィクションであれ、”映画”は医療と違った面からアプローチできる一つのケア方法とも言えます。

同じような類の病気で苦しんだ人の復活劇には勇気を与えられますし、また単純に情緒を揺さぶられることで言葉では言い表せないような癒やしを感じることもできます。

また、多くの精神疾患が「社会の歪み」が原因になっていることも事実です。

こういった問題を取り上げられた映画作品を観て深く考えさせられることで、価値観が大きく変わり人生を好転させるチャンスを獲得できる可能性さえ秘めています。

もし今回ご紹介した映画でまだ観たことのない作品があれば、ぜひ一度ご覧になってみてください。

以上、「心が弱っているときに見ると気付きや発見を得られる映画5選」でした。

何か得られるものがあったらうれしいです。


  • 映画を観て泣いたり笑ったりすることにはストレス解消の側面がある
  • 映画に没頭することで余計な考えを排除でき心を休息させることができる
  • 映画の内容から新たな気付きや発見が得られ根本的な治療改善のヒントが得られることがある
  • 『パッチ・アダムス』は人間らしい生き方を再認識させてくれる作品
  • 『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』は偏った価値観を持つ人に大切なものを発見させてくれる作品
  • 『Shine(シャイン)』は現在苦しんでいる人すべてに観てもらいたい作品
  • 『ホテル ビーナス』は疲れ切った心を癒やしてくれる作品
  • 『ツレがうつになりまして。』は具体的な精神疾患との付き合い方を知りたい人に最適な作品
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てるてる(荒木明)
てるてる(荒木明)
HSP・内向型専門カウンセラー。北海道 札幌市在住。 若い頃から繊細で傷つきやすい性格に悩まされる➔弱い自分を否定し続け対人恐怖症・うつ病を経験。自分の気質を受け入れ、心の機能について一から学ぶことで今ではとても生きやすくなりました。 メール相談を通して、一人ひとりのお悩みに対するアドバイスを行っています。 >>詳しいプロフィール
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