「上司や先輩に対して過度にかしこまってしまう」「気持ちが萎縮して本来の自分が出せない」…
このような状態では、いつも不安や緊張といったネガティブな気持ちを抱え、周囲に「ビクビク」しながら過ごすことになってしまいます。
この「萎縮しすぎる性格」というのは、その人がもともと持っている気質が関係していたり、過去のトラウマの影響によっても作られていきます。
ここでは、『他人に萎縮しすぎる』理由や改善法をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
他人に萎縮しすぎてしまう理由・心理
他人に萎縮しすぎてしまうときには、何らかの理由や心理が隠れています。
以下に、いくつかの例をご紹介します。
『HSP』という気質が影響している
HSPという言葉をご存じでしょうか?
「Highly Sensitive Person」の略で、“とても敏感な人”という意味を持ちます。
- 人の気持ちや場の雰囲気を敏感にキャッチする
- 人の感情に共感・同調しやすい
- 音やニオイなどの刺激に敏感
- 直観力に優れている
などの特徴があり、実に5人に1人はこの気質を生まれながらにして持っているといわれています。
(HSPの簡単セルフチェックはこちらから↓)
特に顕著に表れやすいのが、「人の気持ちに敏感」である部分です。
相手の機嫌や考えていることが何となくわかってしまうことから、まだ怒られたわけでもないのに萎縮してしまったりすることもあります。
HSPは敏感・繊細な感性を持つことから様々な生きづらさを感じる方が多いですが、他の人にはない強みを持っていることも事実です。
マイナス面ばかりに捉われるのではなく、プラスに働く部分にも焦点をあてて上手に活かしていくことが大切です。
相手をすごい人だと思い込んでいる
自分よりも何でも上手にこなす人を見ると、「この人はすごい人だ」と思い込んでしまうことがあります。たとえば仕事が早かったりやトーク力が高いような人に出会うと、「この人にはかなわない」などと、必要以上に他人を崇めてしまうこともあるでしょう。
本来であれば『自分より経験を積んでいる』、もしくは『自分よりも得意なだけ』であることが多いですが、自分がうまくできないことほど、他の人が皆“すごい人”に見えてしまうものです。
批判されたり怒られたりするのが怖い
批判されたり怒られたりすることは誰でも避けたいことです。
しかし萎縮しすぎてしまう人はこの気持ちが特に強く、『恐怖を感じるレベル』になっていることがあります。
これは先ほどの敏感気質(HSP)が関わっていることもありますが、過去のトラウマが原因になっていることも多くあります。
例えば
「人前で怒られて恥をかいた」「強く批判され深く落ち込んだ」
そんな経験が頭にこびりついて、また同じようなシチュエーションになると防衛本能が働き心と体が過剰に反応してしまうのです。
失敗や恥を恐れすぎている
これは真面目な人や完璧主義の人に多い理由です。
仕事をミスなくこなしたり、言われたことを適確に実行できる「優等生タイプ」ですが、その分失敗することに耐性がありません。
また、そのような人は、親や周りの人間に「失敗は恥ずかしいこと」「ミスは許されないこと」などと言われて育った人が多く、必要以上に失敗や恥を恐れてしまうことがあります。
過去のパワハラ、セクハラなどのトラウマ
パワハラ、セクハラなどはたいてい立場の強い人から弱い人へと行われます。
そのときのショックが大きいと、「立場の強い人には逆らってはいけない」「目立ってはいけない」などといった意識が深層心理に刻み込まれてしまいます。
そして、いざ上司など上の立場の人を前にすると、拒絶反応を起こしたり過度に萎縮してしまうのです。
物事の考え方が偏りすぎている
「完璧にできなければ価値がない」と思い込み、「0か100か」というような偏った考え方をするような人も、萎縮しすぎてしまうことが多いです。
叱られたり注意されたりしたとしても、それは「自分のした行為」に対してであって、自分自身を否定しているわけではありません。
しかし「0か100か」というような偏った考え方を持っていると、自分がしたことが否定されると、まるで“自分自身も否定された”ように感じてしまうのです。
他人に萎縮しすぎる性格を直し、自信を取り戻す方法
他人に萎縮しすぎてしまう性格を改善するには、物事の考え方や捉え方を少しずつ変えていくことが大切です。
一夜にして自分の考え方を変えることは難しいですが、意識して思考を修正していくことで少しずつ体の反応も変わっていくはずです。
ぜひ、以下にご紹介する3つを意識して人と会うようにしてみてください。
①自己否定をやめる
萎縮しすぎてしまう人は、『自分で自分を責めすぎてしまう』傾向があります。
何に対しても、「自分が悪い」「自分のせいだ」と考えて落ち込んでしまうクセがついてしまっていることが少なくないのです。
こうした思考のクセがある方は、幼少期に厳しく育てられたり、権威のある人に「お前はできない」などと言われた経験が影響していることが多くあります。
そのような状況で誰かに注意されたり指摘されると、「やっぱり自分はダメなんだ」と、どんどん自信を失くしてしまうでしょう。
この考え方のクセを直すためには、結果や感情をそのままに受け容れることです。
「失敗してしまって悲しいね」「悔しいね」「つらいね」
などと、抱いた気持ちや感情を否定することなくただ受け入れてあげましょう。
そうすることで、自分を否定したり抑圧したりすることが少なくなっていきます。
その上で、自分に自信をつける習慣として『自分を褒めるクセ』を持つことも良いでしょう。
自分を褒める習慣を持つことで、失われた自尊心を少しずつ取り戻すことができます。
- 一週間仕事に行ったら「無遅刻無欠勤で頑張った、すごい!」と褒める。
- 一つの仕事をこなしたら「責任を持って仕事をこなせた、素晴らしい!」と褒める。
- 一日の終わりに「今日もよくがんばった!」と褒める。
こうした自分を褒める習慣を持つことで、自分の長所に自然と意識が集中するようになり、少しずつ自信が湧いてくるようになります。
紙に書きだしたり、声に出したり、鏡に向かって言ったりするとより効果的です。
「自分は価値のある人間だ」と感じられると、誰かに何かを指摘されたとしても、「それは自分自身を否定されたわけではない」と冷静に判断でき、深く落ち込むようなこともなくなるはずです。
②楽観思考を身につける
失敗しても「なんとかなるさ、大丈夫!」と考えられる人は、他人からの言動によって落ち込んだり萎縮してしまうことはあまりありません。
他人に対して萎縮してしまう人は、先のことを悲観的に考えすぎることで常に不安や恐怖心を抱えています。本来ならば対等な関係であるような人にでも、余計な警戒心を持ち怖気づいてしまうのです。
「楽観的になる」ということは、決して『適当になる』という意味ではありません。
本来の意味は、
- 先のことを心配しすぎない
- うまくいくと信じて安心する
ということ。
まだ起きるかわからないようなことをあれこれ考えて心配することを『取り越し苦労』といいますが、そんな状態に陥っていると、やはり対人関係においてもどこかビクビクした状態になりやすくなります。
楽観思考を身につけるには、この取り越し苦労をやめることです。
そのためには、先のことをあれこれ考える代わりに、『今ここ』に集中する意識を持つことがとても大切です。
「過去の体験」や「未来の結果」を考えすぎるほど不安は強くなる
しかしそれらをただ考えないようにしても不安は消えない
「考えない」ではなく「意識を向ける場所を変える」ことが大切
過去でも未来でもなく“今できること”に全意識を集中させよう
“今”に夢中になれば、不安に支配されることはない
— てるてる@生きづらさ解消 (@teruteru_tw) 2018年9月25日
先のことをいくら心配しても、何も生まれません。それどころか、どんどん不安が募っていくばかりです。
もし先のことを考えるのであれば、ただ『心配する』のではなく、『対策を立てる』ようにしましょう。万全な対策を立てることができれば、心配を大きく減らすことができ、それが安心感につながります。
そうでない場合は、やはり『今ここ』に意識を集中させることが大切です。
目の前のことに一生懸命になることで、過去のことも、また先のことも考えるヒマ(隙)がなくなり、不安や恐怖といった雑念が思考に侵入してくるのを防ぐことができるのです。
この方法は非常に効果的なメンタルトレーニング法(マインドフルネス)として、Googleやアップルといった超一流企業にも取り入れられています。
③相手の課題と自分の課題を切り離す
アドラーという心理学者が提唱した「課題の分離」という考え方があります。
他人に対して萎縮してしまう人は、「相手にどう思われるか?」と他人からの評価を常に気にしてしまいがちです。
そんな人は、アドラーの「課題の分離」を利用し、『他者の評価が気にならなくなる考え方』を身につけることが効果的です。
相手が何を言うか、何をするか、どう考えるかというのはすべて『相手の課題』。自分が考えたりコントロールしようするのは無駄であるとアドラーは説いています。
確かに、他人が「自分のことをどう考えるのか」は相手が考えることであって、自分にはどうすることもできないことです。それを「嫌われていないか」「変だと思われていないか」などと勝手に想像することはとても無駄なことだといえます。
▼「嫌われる勇気」より一部抜粋
およそあらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むことーあるいは自分の課題に土足で踏み込まれることーによって引き起こされます。課題の分離ができるだけで、対人関係は激変するでしょう。
他者の課題を抱え込んでしまうことは、自らの人生を重く苦しいものにしてしまいます。まずは、「ここから先は自分の課題ではない」という境界線を知りましょう。そして他者の課題は切り捨てる。それが人生の荷物を軽くし、人生をシンプルなものにする第一歩です。
この課題の分離ができるようになると、“誰かの評価”に支配されることがなくなるので、他人に萎縮しにくくなるだけでなく、人間関係のストレスを大きく減らすことができるようになります。
まずは『自分の課題』と『他者の課題』を分けて考えること。そして、他者の課題は切り捨てる。
「相手が自分のことをどう考えるかは相手の課題であり、自分ではどうしようもない」
このことが腑に落ちると、「人にどう思われるか?」ということは気にならなくなるはずです。
これは『自分と他人の間に境界線を引く』ということでもあります。
自分と他人の問題や責任をごちゃ混ぜにしないためにはとても大切な考え方です。
以下の記事も参考にしてみてください。
「萎縮しすぎてしまう性格を直し、自信を取り戻す方法」のまとめ
今回は「萎縮しすぎてしまう性格を直し、自信を取り戻す方法」をご紹介しました。
周囲に萎縮したりビクビクしてしまうのをやめるには、
①自分を責めるのではなく、“褒める”クセを作る
②楽観思考を身につける
③相手の課題と自分の課題を切り離す
の考え方を身につけていくことが効果的。
さらに具体的にまとめると、
自分を褒めて自尊心(自信)を取り戻し、
楽観思考で取り越し苦労をやめ(今ここに集中)、
他者の課題を切り捨てる。
この3つを意識し、実際に人と会って練習をしていくことで、過度に萎縮したりビクビクしてしまうようなことは減っていくはずです。
ぜひできそうなことから実践してみてください。
少しでも良くなることを願っています。
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