人は誰でも『色眼鏡』をかけて物事を見ています。
これはつまり、物事を自分なりの見方や捉え方、考え方で見ているということです。
「これはこういうものだ」「こうに違いない」などといった先入観のようなものですね。
この認知の仕方に極端なこだわりや偏りがあるほど、社会や人生における生きづらさや息苦しさのようなものを感じやすくなる傾向があります。
反対に、柔軟なものの捉え方や見方ができるようになれば、広い視野で物事を見られるようになり、心の余裕も生まれやすくなります。
今回ご紹介する『リフレーミング』は、そんな多面的なものの見方を身につけることで、前向きな心理状態を作り出すことのできる方法です。
また、「自分に自信が持てない」「嫌な気持ちをずっと引きずる」といった状態から抜け出す際にも、リフレーミングはとても有効です。
この記事では『HSP』に焦点を当てて解説しますが、やり方さえ覚えれば、どんな場面・状況にも活用することができますよ。
この記事の目次
HSPにリフレーミングが効果的な理由
『HSP』といえば、「繊細」「刺激に敏感」といった、ネガティブなイメージを持たれることが多いかもしれません。
HSPという概念を作ったエレイン・アーロン博士自身がそう言っているように、確かにそのような特徴を持った気質であることは間違いありません。
しかし、特徴に対する“意味づけ”がネガティブなものに偏っていると、必要以上の「諦め」や「落胆」、「回避」に繋がってしまう可能性があります。
「本当はやってみたいけど、私は繊細だからやめておこう」
「私は刺激を受けやすいから、〇〇するなんて絶対無理」
といった具合にですね。
このように、本当はできるかもしれないことに対してやる前から「できない」と決め込んでしまったり、必要以上に悪くとらえてしまう方も中にはいらっしゃいます。
これでは自分を否定することにもなってしまいますし、そこで味わう挫折感や失望感は、「自信をなくしていく」大きな原因にもなりかねません。
自分の気質をうまく活かしていくためには、まず自分の気質をよく知り、それを自分にとってプラスの方向に転換することが必要不可欠です。
ネガティブなイメージがつきまとうHSPだからこそ、リフレーミングによってプラスの意味づけをすることは非常に大切なことだといえるのです。
HSPの短所・デメリット・マイナス面へのリフレーミング
では実際に、HSPが持つ特徴のイメージをより良いものとするために、リフレーミングを実践してみましょう。
ここでは、HSP気質によく言われることが多い特徴を挙げ、それに対するリフレーミングの例をご紹介していきます。
リフレーミングでは、自分の考え方や思考のクセ、決めつけ、思い込みなどに縛られず、全く違う枠組みで捉え直していくことが大切です。
短所やマイナス面に対して「プラスの意味付け」をしてみたり、すでに起こったことに対して「何か得られたことはないか」などと考えてみます。
そうすることで、「新たな価値」に気が付くことができ、前向きな捉え方ができるようになっていきます。
※(以下に挙げるリフレーミングはあくまでも例ですので、無理に取り入れる必要はありません。自分が納得のいくリフレーミングを探っていくことが大切です。)
「繊細で敏感」に対するリフレーミング
-プラスの意味付け-
- 細やかなことにも気が付ける
- 気遣いができる
- 今何が必要で、何が必要でないかがわかる
- 失言が少ない
- 穏やかで落ち着く印象を与える
- 雰囲気を和ませる
- リスク管理能力が高い
- 小さな変化・違いを見抜くことができる
-得られたこと-
- 「よく気が利くね」と褒められることが多い
- 友人の体調の変化にすぐ気が付くことができた
- 恋人から「一緒にいると落ち着く」と言われた
- 失敗しないように先回りして考えることができる
「傷つきやすい」に対するリフレーミング
-プラスの意味付け-
- 相手に同じ思いをさせないように気を配れる
- 思いやれる
- やさしくできる
- 人を傷つけることが少ない
- 寄り添える
- 安心感を与える
-得られたこと-
- 人に不快な思いをさせずに済んだ
- 傷ついている人を見て声をかけることができた
- 人を励ますことができた
「感受性が強すぎる」に対するリフレーミング
-プラスの意味付け-
- 人の気持ちがよくわかる
- 愛情深い
- 感動・感謝できることが多い
- 感性が必要なこと(歌や物作りなど)が得意
- 芸術的センスがある
- 他人の好き・嫌いがわかる
-得られたこと-
- 人の話を親身になって聞くことができる
- 喜びや感動の量が多い
- 自然から多くの豊かさを感じ取れる
- 歌や絵が上手だといつも褒められる
「心配性」に対するリフレーミング
-プラスの意味付け-
- 慎重
- 思慮深い
- 想像力がある
- よく考えて行動する
- 失敗やミスが少ない
- IQが高い(という研究結果がある)
-得られたこと-
- 起こりうるリスクに備えて行動できる
- 大きな失敗をしたことがほとんどない
- 人から信頼されることが多い
- 重要な仕事を任せてもらうことが多い
このようにして、欠点の裏側を探ったり、新たな光を当ててみることで、ポジティブな捉え方ができるようになっていきます。
初めは「そんな捉え方もできるかもね」くらいにしか思えなくても、意識する回数を重ねるごとに、少しずつ本当にそう捉えられるようになっていきます。
リフレーミングした後の考え方・捉え方が腑に落ちるほど、欠点に対するマイナスイメージは減少し、それに比例するように自信が高まっていきます。
「HSP気質に生まれて不運だ」に対する新たな価値観
私がHSPという気質について知った当初は、色々な意味で納得することができた反面、「なぜ自分が?」「これからどう向き合っていけばいいんだ」といった悲観的な気持ちも少なからずありました。
しかしこの後ろめたさのような感覚を減らしていかない限り、自分の気質を前向きに捉え、それを存分に活かしていくことはできません。
そこで私は、こうした状況にリフレーミングを行い新たな価値を探ってみたところ、自分の気質に対する捉え方をとても前向きなものに変えることができました。
以下に、当時私が実際に作ったリフレーミング文の一部をご紹介して、この記事を終わりにしたいと思います。
HSPにならなかったら、自分の気質のことなんて気にしなかったと思う。知らないままだったら、ずっと弱い自分を責め続けていたと思うし、全然違う性格を目指して無理し続けていたと思う。自分がHSPだと知れたことは本当にラッキーだった。
前は同じような性質を持つ人に出会うと複雑な気持ちになっていたけど、今は親近感が湧くようになった。変に強がらずに本当の自分を見せられるようになった。
自分が困ることが多い分、同じように困っている人の気持ちがよく分かる。助けることができる。支えてあげられる。これは自分にとっての大きな武器だ。
自分はHSPのままでいい。HSPだからこそできることがある。HSPであることは自分にとっていいことだ。これからも、HSPの自分を大切にしていこう。
2019.3.7追記
▼『リフレーミング辞典』なるものを発見しました。こちらも参考にどうぞ。
http://www2.gsn.ed.jp/houkoku/2011c/11c31/siryo/reframing.pdf
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