「先のことを考えすぎて不安になってしまう」
という“思考の癖”に悩まされる方は少なくありません。
生活のこと・仕事のこと・将来のこと・子育てのことなど、その内容が重要であればあるほど不安は強くなるものです。
ただ、いくら大切な悩みであっても”考えすぎてしまう”と様々な問題が生じます。
まだ起きていないことに対して良くない結果を想像することで、どんどん心配や不安が膨らんでいく…
このような状態では、いつもモヤモヤした気持ちを抱えたまま生きていくことになり、どこか心も晴れません。
「考えすぎて不安になる」というのは一種の“考え方の癖”のようなものですので、意識して考え方を変えることで改善していくことも可能です。
この記事の目次
- 考えすぎると不安になるのはどうしてなのか
- 【考えすぎて不安になる癖】を直す3ステップ
- ステップ1.【自分の考え方タイプを知る】
- 感情優先タイプ
- 思考優先タイプ
- 行動優先タイプ
- 考えすぎて不安になりやすい人は「思考優先タイプ」
- ステップ2.「感情タイプ」「行動タイプ」のメリットを取り入れて“考えすぎ”を断ち切る
- 感情のまま動いて考えすぎを断ち切る
- 新しいことに挑戦して考えすぎを断ち切る
- 「とりあえずやってみよう」を口癖にする
- ステップ3.失敗の捉え方を変えて不安をなくす
- 「失敗しない」ではなく、「失敗に対応出来る」を目指す
- 人は不完全な生き物だということを理解する
- 失敗=0点ではない
- 最後に:考えすぎる思考の癖は改善できる
- 〈この記事のまとめ〉
考えすぎると不安になるのはどうしてなのか
先のことが心配でつい考えすぎてしまう。そして考えているうちにどんどんネガティブなことが思い浮かんできて、心の中が不安でいっぱいになってしまう。
この思考のメカニズムは、実は人間の防衛本能が関係しています。
良くない結果をあらかじめ想像してしまうのは、失敗しないための対策を立てたり、必要以上のダメージを被らないようにする心のしくみのようなもの。
「思考性防衛本能」、または「想像性防衛本能」とも呼ばれています。
人間には、悪い結果を想像してしまう「ネガティブ思考」が本能として備わっているのです。そのため、先のことが心配になったり、深く考えすぎて不安を抱いてしまうのです。
しかし、強い不安や恐怖を感じるまでに悪い方向ばかり考えてしまうのは健全な思考とはいえないでしょう。これではネガティブ思考に完全に支配され、心を病んでしまう原因にもなりかねません。
先のことを考えるということは実に大切なことですが、ネガティブな方向に傾きすぎないよう注意が必要です。
【考えすぎて不安になる癖】を直す3ステップ
では具体的に、「考えすぎて不安になる」という思考の癖を直していくにはどうすれば良いのでしょうか。
そのためには、自分の考え方のクセをつかみ、適切なものに近づけていく作業が必要です。
以下の3つのステップに沿って行動し、思考の歪みを改善しましょう。
ステップ1.【自分の考え方タイプを知る】
物事に対する考え方や行動には個人差があり、いくつかのタイプに分けられます。
以下を参照し、まずは“自分がどのタイプに当てはまるか”自己分析してみてください。
感情優先タイプ
物事に対して「感情」が先に働いて行動する人は、”感情優先タイプ”です。
かんたんに表現すると、そのときの気分や好みを優先する思考タイプだと言えます。
「どちらの方が楽しそうか」「どちらの方が嫌なのか」を物事の判断基準にするのが特徴です。
感情タイプのメリットとしては、あるものに興味を持てば疲れることも忘れて没頭でき、他の人が到達できないようなレベルの仕事をこなしたりできることです。
また、「嬉しい」「楽しい」「悲しい」といった感情表現が率直にできるため、余計なストレスを抱え込まずに済みます。
デメリットとしては、やる気のあるときとないときの差が激しく(気分で左右されやすい)、やらなくてはならないことを適切なタイミングでできないことがあるということです。
またストレートに感情表現するあまり、人に正面からぶつかってしまいやすいというリスクもあります。
思考優先タイプ
”思考優先型タイプ”の人は、物事を慎重に考えてから行動する傾向にあり、論理的かつ冷静に物事を進めていきます。
「物事を深く分析できること」が思考優先タイプのメリットです。
なにかを成し遂げる前にきちんと計画を立てるため失敗が少なく、トラブルに見舞われるようなことも少ないです。そのため、周囲からも評価を受けやすいといった良さもあります。
一方、思考優先タイプの人は、しっかり考えないとなかなか行動に移すことができないといったデメリットもあります。
また、完璧な情報が得られていないようなケースでは、行動することが遅くなったり、不安を感じて行動することをやめてしまうようなこともあります。
勇気のいる思い切った決断をすることが苦手なタイプだとも言えるでしょう。
行動優先タイプ
”行動優先タイプ”の人は、「行動すること」を最優先に物事を判断するのが特徴です。
「行動したあとに考えれば良い」と楽天的に考え、どんどん新しいことに挑戦していきます。
行動優先タイプの人のメリットは、勇気を必要とすることにでも積極的にチャレンジでき、行動するまでがとにかく早いことです。
「とりあえずやってみよう」といった感覚を持っているため、あれこれ考えて躊躇することもありません。
デメリットとしては、瞬発力こそあるものの、物事を長く続けることが苦手な傾向にあることです。
また、きちんとした段取りをとる前に行動してしまうため、満足な成果が得られずに終わってしまうことも多くなります。
考えすぎて不安になりやすい人は「思考優先タイプ」
考えすぎて不安になりやすい傾向があるのは、2番目の”思考を優先するタイプ”の人です。
物事を慎重に考えること自体は決して悪いことではありませんが、必要以上に長時間考え続けたり、ネガティブな結果ばかりを想像してしまうと心が疲弊しやすくなります。
とくに新人として会社に入社したり新しい部署に転属されたときなど、環境が変化する際には考えることが増えすぎ許容量をオーバーしてしまうことがあるでしょう。
また思考優先タイプの人は「失敗」を想定しすぎる傾向があり、自分に迫りくる失敗の影を感じ、強く不安に襲われることになってしまうのです。
ステップ2.「感情タイプ」「行動タイプ」のメリットを取り入れて“考えすぎ”を断ち切る
行動する前にあれこれ考えて不安になってしまう癖を直すには、「感情優先タイプ」「行動優先タイプ」の良い部分を取り入れることが効果的です。
それぞれの特徴をつかみ、自分に取り入れられる部分がないかチェックしてみてください。
感情のまま動いて考えすぎを断ち切る
思考優先タイプの人は、とにかく行動する前にあれこれ考えすぎてしまい、結果的に不安や恐怖、焦りといったネガティブな感情を抱え込んでしまいがちです。
一方、感情優先タイプは、自分の感情や気分に素直に従いやりたいことに向けて行動することができます。
この感情優先タイプのメリットを取り入れるためには、
行動する前に
「どうやって成功させるか」「ミスなく進むにはどうしたらよいか」
といったことを考えるのではなく、
「自分はどうしたいのか」ということを最優先に考え、自分の本心に耳を傾けてやることが大切です。
あとは心の声に従って、勢いのままに行動したり話したりすればよいのです。
ここで躊躇していると「本当に大丈夫なのか?」といった思考が湧いてきますので、思い切り良く大胆に行動する意識を持つことが大切です。
新しいことに挑戦して考えすぎを断ち切る
次に、「行動優先タイプ」の性質を取り入れてみましょう。
思考優先タイプの人は、自分の納得のいく計画がないと積極的に動くことができません。
しかし、人生には見切り発車しなくてはならないこともあります。
- 突然スピーチをお願いされる
- 経験のない仕事を任される
- リーダーに抜擢される
このような“新しいこと”に挑戦する場合、そこには必ずといってよいほど”リスク”がつきまといます。思考優先タイプの人は、こうした場面で様々なことを考えすぎ、行動するのをためらってしまいがちです。
そして足踏みして行動が遅れるほど、どんどんネガティブな想像が頭を駆け巡り、不安に陥ってしまうのです。
一方、行動優先タイプの人は、リスクを深く考える前に「なんとかなるだろう」といった楽天的な思考をします。ですから”考える前に行動”することができるのです。
こうして行動優先タイプの人は「行動できた」という事実を大きな自信に変えていきます。
思考優先タイプの人も、こうした楽観的な思考を取り入れ、新しいことにどんどんチャレンジしてみることが大切です。その行動自体が自信を生み、少しずつ行動に対する恐怖心が薄らいでいきます。
とはいえ、慎重な性格である人ほど楽観的な考え方が苦手な傾向にあります。そのような場合は、「行動のハードルを少しだけ下げてみる」ことをおすすめします。
初めからできそうもないことにチャレンジして失敗をするのではなく、「少し難しいけど頑張ればできそう」と思うレベルのことに全力で挑戦するのです。
「行動できた」という事実、「成功した」という事実の両方を獲得できれば、より大きな自信を得ることができ、行動する前の心配や不安を抱える機会も減っていくはずです。
- 「なんとかなるさ」と楽観的な思考を意識する
- 「頑張ればできそう」なレベルのことに全力で挑戦する
- 新たなことに「挑戦(行動)した」「成功した」という事実で自信を得る
「とりあえずやってみよう」を口癖にする
日本の有名なプログラマーに、「中島聡」という方がいます。
この方は、現在では常識になったマウスの「右クリック」や、パソコン画像の「ドラッグ&ドロップ」を現在の形にした世界的プログラマーです。
中島氏の話では、競争が熾烈な現在のIT業界で勝ち抜くには「まず崖から飛び降りてから航空機を作る」という感覚が大切なのだそうです。
これはまさに”まず先に行動する”ということであり、この考え方はあらゆる業界で働く社会人にも役立ちます。
先に行動することで退路を断つことができ、それがある意味で「腹をくくる」ことにつながります。
思い切って飛び出した自分が直面する問題は、行動した後でも十分に考えることができます。リスクに備えることも大切ですが、行動の先にある壁に全力で挑む姿勢のほうがもっと大切なのです。
つい考えすぎて行動が妨げられやすい人は、「とりあえずやってみよう!」という言葉を口癖にしましょう。
「退路を断って腹をくくる」ということができるようになれば、“できない理由”や“うまくいかない想像”を繰り返すことも少なくなるはずです。
ステップ3.失敗の捉え方を変えて不安をなくす
最後のステップは、「失敗に対する捉え方を変える」というものです。
深く考え込むタイプの人は「失敗すること」を非常に怖れます。それが強い不安となって行動を妨げてしまうのです。
ですから、失敗の恐怖を感じにくい考え方・捉え方を身につけることが大切です。
「失敗しない」ではなく、「失敗に対応出来る」を目指す
失敗をしない人はいません。
大切なのは”失敗をしたときの対応”のほうです。
失敗に対する恐怖感が強いとき、大抵は“失敗しないように”がんばろうとする
しかし100%失敗しないことは不可能だし、意識しすぎるほど緊張し失敗率は上がる
大切なのは「失敗しない」ことではなく「失敗に対応できる自分」を目指すこと
失敗はたんなる教訓であって、自己嫌悪を生むものではない
— てるてる@生きづらさ解消 (@teruteru_tw) 2018年9月22日
失敗したあとに取り乱さず、「2次被害を防ぐためにどんな方法をとるか?」と考えることこそが、その人の能力の真価だといえます。
たとえば、会社に入社したての新人ならば、“失敗をしても当然の状態”です。
そんな新人でも、何か失敗をしてしまったときに事態が悪化しないようすぐに上司に報告できる人ならば、先輩たちも安心した目で見ていられます。
しかし、失敗してただただ深く落ち込んでしまったり、失敗が発覚しないように報告を怠ってしまうと、「もう任せられない」「信用できない」と思われてしまうかもしれません。
物事に真摯な態度で取り組むことは大切ですが、「失敗しないこと」に全力を注ぐよりも、「失敗に対応できる能力」を養うことを目指すほうが、現実的には役立つのです。
失敗への対応がある程度想定できていれば、余計な不安や緊張を抱えることなく行動することができます。
アイスキャンディーの『ガリガリ君』で知られる「赤城乳業」は、非常にユニークな発想で数々の爆発的ヒットを飛ばす有名メーカーです。
赤城乳業では、数億円規模の新商品の発想を社員たちに任せ、それが失敗に終わっても、たった「1万円程度の罰金」のペナルティーだけで不問にし、左遷や降格など責任の追求はありません。
この「失敗しても1万円」という、失敗した結果の想定がすでにできていることで、重圧を受けず自由な発想を生むことができるのです。
失敗に対する自分なりのフォローを日頃から考えておくことで、余計なプレッシャーを感じたり自己嫌悪に陥ることもなくなります。
失敗しないことよりも、「失敗に対応できる能力を身につける」ことこそが、最も大切なスキルだと知っておきましょう。
人は不完全な生き物だということを理解する
なにか新しいことにチャレンジする際に、学校に通ったり独学をし”完璧に知識をつけてから行動しよう”とする人がいます。
これも決して悪いことではありませんが、万全を期した後に行動するよりも、「失敗したらそこで学習し、次に活かす」というスタイルの方が成長も早くなります。
そもそも人は不完全な生き物であり、どんな人でもミスをするものです。それをよく理解していれば、失敗して自己嫌悪に陥ることもないはずですし、誰かの失敗にも寛容になることができます。
失敗に対する恐怖感を取り除くには、相手の失敗にも寛容になること
神様でもない限り、失敗しないことは不可能
誰もが不完全であることを理解すれば自他の失敗を重く受け止めることはなくなる
大切なのは「失敗から何を学べたか」であり、失敗を教訓として捉えることで新たな挑戦への原動力にもなる
— てるてる@生きづらさ解消 (@teruteru_tw) 2018年9月25日
自他の失敗を責め立てるのではなく、「教訓」と捉え次に活かすことが大切です。
失敗=0点ではない
会社にしろ趣味にしろ、到達点は存在しないか、あったとしてもはるか先です。
そこに行くつくためには紆余曲折があり、数多くの失敗も経験するでしょう。
「失敗=0点」と考えるのは、明らかに視野の狭い解釈であり、その失敗の先のことを考えの中に入れていない証拠でもあります。
犯してしまった失敗の中に、”次の成功のヒント”がたくさん含まれている以上、それは決して「0」ではないのです。
このことは、偉人達が残した名言の中にも記されているものがたくさんあります。
“失敗”に関する偉人の名言
私は失敗したことがない。
ただ、1万通りの「うまく行かない方法」を見つけただけだ。
―トーマス・エジソン
失敗がいくつも見つかったら、成功が近いと思いなさい。
失敗は成功に至る方法論の間違いを告げるメッセージです。
―ジョセフ・マーフィー
私たちは失敗はしない。勉強しているだけだ。
―アン・ウィルソン・シェイフ
失敗から学べることは計り知れません。
何かに取り組む際に、「0か100か」で考えないことが失敗を怖れなくする秘訣です。
最後に:考えすぎる思考の癖は改善できる
真面目で責任感の強い人ほど考えすぎて不安を抱える傾向にあります。
しかし冒頭でも書いたように、これは“思考の癖”のようなものですので、自分の考え方の傾向をつかむことで改善につなげていくことも可能です。
ぜひ上記に解説した3つのステップに沿って、行動を起こしてみてください。
少しでも良くなることを願っています。
〈この記事のまとめ〉
- 思考優先タイプの人は理論的に物事に取り組めるが考えすぎて不安を抱きやすい
- 感情のまま行動すると不安を感じにくくなる
- 考える前に行動する習慣をつけることで不安を克服しやすくなる
- 「とりあえずやってみよう」という言葉を口癖にすると良い
- 失敗に対応できるノウハウをつけると失敗を怖れなくなれる
- 「どんな人でもミスをする」ということを理解すると失敗への怖れが減る
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